第5章

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「・・・なんだ?」 風太の迫力に押されながらも、圭太は風太に先を促した。 「父ちゃん、しゅうやと、仲直りした?」 じっと見つめる目は澄んでいて濁りがない。嘘偽りを許さない眼差しから、圭太は思わず視線を逸らした。 「いつ、しゅうやのとこに帰るんだ?このまま帰らないつもりか?」 「・・・風太は、帰りたいか?」 質問を質問で返す圭太に風太が頷く。 「帰りたい」 素直な風太の言葉が、圭太の中に巣食っていた全ての迷いを消し去っていった。 男同士、腹を割って話そう。そう決意した。 「そうか、帰りたいか・・・父ちゃんも帰りたいよ」 圭太の願いに、だったらと風太が詰め寄る。 「でもな・・・一つ、問題があるんだ」 勢い込む風太を制するように、圭太が告げた。何も恥じることはない。俺は修也が好きだ。風太にそのことをちゃんと分かって貰いたい。 「・・・もんだい?」 こいつは小さいが1本筋の通った男だ。怖がる必要はない。本音で話せば、きっと分かってくれる。 何度も躊躇するように口を開けては閉じてを繰り返し、圭太は大きく深呼吸をした。 「・・・風太、話を聞いて欲しい。もしかしたら、風太がイヤな気持ちになるかもしれない話だが・・・今から話すことは、父ちゃんの本心だ。風太にちゃんと話して置きたい」 そして、出来るならば理解して欲しい。自分勝手な願いは心の中だけで呟いた。
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