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「父ちゃんは修也が好きなんだ」
その唐突な告白に、風太が首を傾げた。
「おれも、好きだぞ?」
「・・・いや、そうじゃなくて・・・父ちゃんの好きと風太の好きは違うんだ。父ちゃんの好きは、恋愛の好きで・・・普通なら女の人に抱くだろう感情を修也に抱いていて、修也も同じ気持ちで・・・つまり、なんだ・・・あいつと恋人として、付き合っていたんだ」
修也に対する気持ちを説明している内に恥ずかしくなり、圭太は口籠もりつつも何とか伝えた。
「・・・ここに来る前に、修也に別れ話をされた。修也が望むことだからと、父ちゃんも受け入れたんだ。だから、修也の所には帰れないんだ」
風太は眉間にシワを寄せて、難しい顔をしながら圭太に訊ねた。
「・・・んーと、父ちゃんは、しゅうやがキライになったのか?」
「いや、キライになんてなってない」
「じゃあ、しゅうやが父ちゃんをキライになったのか?」
首を傾げる風太に「いや、違う」と答えた。
「じゃあ、なんで?」
風太の疑問に、圭太は恐る恐る訊ねた。
「イヤじゃないか?」
「・・・なにが?」
聞き返す風太を、注意深く見つめる。慎重に言葉を選びながら、圭太は口を開いた。
「父ちゃんは、男だ。修也も男だ。男同士付き合ってたってこと・・・イヤじゃないか?」
圭太の言葉に、風太が目をパチクリとさせた。
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