第5章

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「俺と修也は納得して付き合っていた。誰になに言われても、自分達が選んだことだから構わないと思っていたしな・・・まぁ、風太にそのことで嫌われたりするのは辛いんだけどな・・・でも、もしイヤだと思っても、父ちゃんもあいつも真剣に付き合ってたってことだけは分かって欲しいんだ」 若干早口になりながら風太に告げれば、風太は眉間のシワを濃くした。 それを見て圭太は胸の内で密かにため息を吐き出した。 ーーやっぱり、嫌悪感を覚えるよな。 この世の中には男と女が居て、男は女と添い遂げることが『普通』とされているのだ。子供ながらに、男同士の恋愛が世の中の常識と掛け離れていることが分かるのだろう。 「・・・父ちゃんは何が言いたいんだ?」 風太は難しい顔をしながら圭太を見る。 「おれ、父ちゃんが言ってるいみがわからない」 予想に反する問い掛けに、圭太は一瞬呆けた。でも直ぐに、子供には難しかったかと反省し、噛み砕いての説明を試みる。 「・・・んとな、保育園のお友達の母ちゃんは女の人だろ?風太の母ちゃんもそうだ。一般的に普通とされている夫婦やカップルは、男と女なんだ。同性同士のカップルは・・・昔に比べれば受け入れられてるとは思うが、まだまだ理解されないことが多い・・・」 真面目な顔で圭太の話を聞いていた風太は「ちがう」ともどかしそうに被りを振った。
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