第5章

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「・・・それが、もんだいなのか?」 「問題?」 「・・・さっき、父ちゃんが言ってたろ?一つもんだいがあるって・・・それがそうなの?父ちゃんとしゅうやが別れたりゆうなのか?」 「・・・いや、違う」 「じゃあ・・・なんなんだ?なんでそんなはなしをするんだ?」 風太はうーんと唸りを上げながら考え込み「おれ、やっぱり分からないや」と途方に暮れた。 それを見た圭太も「俺も分からなくなった」と呟く。 間の抜けた空気が漂う中、二人で顔を見合わせ困ったように笑い合う。 「・・・父ちゃんはさ、しゅうやが好きなんだろ?しゅうやも父ちゃんが好きなんだから、それでいいんじゃないのか?」 「・・・そう、なんだけどな」 「好きなやつどうしが付き合うのは、ふつうじゃないのか?まちがってるのか?」 不可解な顔をした風太が呟く。 「・・・間違っちゃいないよ。風太の言ってることは正しい。・・・でもな、そうなると、お前には一生母ちゃんが出来ないぞ?いいのか?」 以前風太には母親は要らないと言われていたが、まだまだ母親を必要とし、恋しがってもおかしくない年だ。女と再婚なんて今の圭太には考えられなかったが、風太に寂しい想いをさせたくないと思う気持ちも本当だ。 風太がもし許してくれるなら、修也ともう一度やり直したいと思いながらも、圭太はそんな風にも考えていた。 風太の心の内を探るように見る圭太を、風太はキッと睨み付けた。 「父ちゃん、おれ、まえに母ちゃんいらないって言ったよな?」 「言ってたな」 「ちゃんとおぼえてるのか?」 「覚えてるぞ?」 「じゃあ、なんでそんなこと聞くんだよ」 風太は憮然とした顔で圭太を詰った。
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