第5章

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沙織は紙袋の中からバーガーを取り出すと圭太に渡した。 「あっ・・・悪い、ありがとうな」 バーガーを受け取り、圭太は笑みを浮かべた。沙織は「どう致しまして」と返すと包みを開く。圭太はそんな沙織を横目で見ながら、どう言えば沙織を傷付けずにすむのか考えていた。だが、どう言ったところで結果が変わらないのなら同じなのかもしれないと、思い直す。 「・・・沙織」 声を掛ける圭太に、沙織がピシャリと言い放つ。 「先、食べたら?食べながらなんて消化に悪いわよ?」 「・・・・・・そうだな」 圭太は顔を俯かせると、密かに嘆息する。気まずい空気が居た堪れなかった。誰かを振るという行為が、こんなにも気詰まりだとは思わなかった。 食べ出す気配を見せない圭太に、沙織はチラリと視線を向け溜め息を吐き出すと「・・・私ね」と、話を切り出した。 「・・・圭太から電話を貰って嬉しかったんだ」 圭太がハッとしたように沙織を見ると、沙織はバーガーに齧り付いていた。もぐもぐと咀嚼し、ペットボトルの蓋を開けて口を付けた。 「・・・でも、話があるから時間を作って欲しいって言われて・・・そんな気持ちも消し飛んじゃった」 「・・・沙織」 「本当は、散々惚けて圭太を困らせてやろうって思ったんだ。悔しいからさ・・・でも、圭太のそんな顔を見たら・・・もういいやって思っちゃった」 「・・・ごめん」 項垂れる圭太に沙織は自嘲した。
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