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カウンター席に風太と二人座って待っていると、芳樹が調理をするこ気味いい音が、良い匂いと共に聞こえてきた。
「父ちゃん、はらへった」
匂いに釣られたように、風太のお腹が盛大に鳴った。その音に圭太が笑うと風太も同じように口を大きく開けて笑う。その笑顔は屈託がない。幸せそうに笑う風太の笑顔を守ってやりたいと強く思った。
「ーーお待たせ」
芳樹はそう言うと、圭太達の前に皿を並べる。風太のオムライスにはケチャップで『ふうた』と圭太のには『けいた』と書かれてあった。
風太は満面の笑みを浮かべ手を合わせた。
「いただきます」
「熱いから気をつけてね」
芳樹の言葉に「うん」と大きく頷き、はふはふ言いながら食べ始める。
「いただきます」
圭太も手を合わせ、久しぶりに食べる芳樹の料理を口に運ぶ。ケチャップライスが卵に包まれた昔ながらのオムライスは、芳樹の優しさが詰まったようなホッとする味がした。
「父ちゃん、おいしいねー」
もぐもぐと口を動かし風太がニコニコと笑う。圭太も大きく頷き同意した。
ーー食事を終え、風太にはデザートのアイス。圭太にはコーヒーが置かれた。礼を言ったあと、圭太はカウンター内に座る芳樹に、修也のことを訊ねた。
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