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「まぁ、友人のところに行くとは言って行ったみたいだがな」
『それは失踪とは言わないだろ』
「そうか?」
『・・・まぁ、いい。それで、用件はなんだ?』
「・・・修也は進藤のとこに居るんだよな」
そうとしか思えなかったが、改めて確認した。
『それを聞いてどうする。別れた男の消息なんて、どうだっていいんじゃないのか?』
「・・・修也が言ったのか?」
『ああ、再婚するんだろ?おめでとうでいいんだよな?あいつのことは放っておけ。むしろそっとしておいてやれ』
「再婚はしない。あいつとも別れない」
キッパリと言い切ると、昴は押し黙った。
「俺は自分の気持ちを誤魔化さないことに決めたんだ」
『小原・・・良く考えろ。お前は修也とは違う。女と恋愛が出来るんだ。何も難しい道を選ぶ必要はないだろ?お前には子供もいるんだ。修也への気持ちは、時が経てばいずれは忘れられる。・・・あいつが、お前にやった最後のチャンスを踏み躙ってやるな』
修也と別れ、新たな道を選ぶよう諭す昴の声が優しく響く。意地悪く聞こえたなら、ただ反発して電話を切って終わりにした。でも、そうじゃないから。修也の友人として、圭太の覚悟を確かめているのが分かったから、圭太は本心を打ち明ける。
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