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「お前・・・性格悪いぞ」
『安心しろ。自覚済みだ』
そう言って笑う昴に溜め息を吐き出した。
『・・・小原の気持ちは分かった。お前も難儀な男に惚れたもんだ』
「そんな風には思わないから心配するな」
『・・・そうか。・・・修也は俺の部屋に転がり込んでる』
「場所を教えてくれ。迎えに行く」
修也の居場所が分かりホッとする。
『・・・・・・今からか?』
何故か躊躇する昴に違和感を覚えた。
「・・・?ああ、もちろん今からだ」
『そうか・・・』
昴は呟くと、そのまま黙り込んだ。その沈黙に胸が騒ぎ、妙に気持ちが急いだ。
なんだ?と問い返す前に昴が口を開く。
『・・・明日でよくないか?』
「えっ?」
『そうだ、そうしろ。慌てなくても修也は逃げない。明日ゆっくり来ればいい』
まさか日を改めろと言われるとは思っていなかった圭太は「・・・なんでだ?」と不審げに問う。
『なんでって・・・なんでだろうな』
「進藤?」
うーんと昴が唸りを上げる。知らず圭太は拳を握り締めた。
どうすっかな・・・小さな小さな呟きが耳に届いた。ドキリと胸が騒ぐ。イヤな予感に苛まれ眉間に深い縦皺が寄った。
今、迎えに行っちゃいけない理由があるんだよな。・・・もしかして、あいつにはもう誰か違う奴が居るのか?ーーーーいや、違う。大丈夫だと、圭太は思い浮かんだ可能性を否定した。
「・・・進藤」
低く昏い声で、電話の向こう側にいるだろう男の名を呼んだ。
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