第5章

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昴が諦めたように息を吐いた。 『・・・あいつは・・・昼頃出かけた。そのまま友人に会って飲みに行くって言ってたんだ。もしかしたら、そのまま帰って来ないかもしれない。・・・電話も持ってないし連絡が付かない。今日は諦めろ』 圭太はスマホを握り締め、ほんの少し言い淀む昴に訊ねた。 「・・・友人?」 『・・・・・・ああ』 微妙な間を開ける昴の口調に不安が募る。 「進藤・・・本当のことを言ってくれ。会いに行ってるのは友人・・・なんかじゃないんだろ?」 胸がまるでぎゅぅと引き絞られるような痛みを覚えた。 『小原・・・』 痛ましげな声が心に突き刺さった。 『・・・修也は本当に友達に会いに行ったんだ』 だから心配するなと優しく諭す昴に「頼む」と悲痛な声で訴えた。 「頼む進藤。誤魔化さないでくれ。本当のことを言って欲しい」 『・・・今は大人しく家にいろ。そうすれば、明日には元通りだ』 明日には元通り?本当に?このまま何も知らされないまま、大人しくしていれば本当に元通りになるのか?もしかしたら、夜を一緒に過ごしているかもしれない男に、修也を取られるかもしれないのに? 圭太はじっと窓の外を見据えた。 「・・・待ってるだけじゃダメなんだ。待ってるだけじゃ・・・何も手に入らない。修也を取り返す。進藤、頼む。教えてくれ」 あの無駄に良い声も、大きな手も、逞しい胸も、熱い眼差しも・・・修也の全ては俺のものだ。圭太は激しい執着とドス黒い嫉妬に目が眩みそうになりながらも必死になって懇願した。
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