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車が動き出したのを見て、圭太は慌てたようにエンジンを掛けた。ここで合流するつもりだったのに、余りの衝撃に為すすべもなく見送ってしまった。
敵わないと敗北は認めるが、だからと言って諦める気はない。
本来の目的も忘れてはいない。予定は狂ったが、帳尻を合わせればいいだけの話だ。ともすれば怖気そうになる心を叱咤しながら、車を走らせた。
車は繁華街を抜けて5分程走った後、真新しいマンションの前で停まった。
マンションて・・・飲みに行くんじゃないのかよ。ギリと強く歯を噛み締め、圭太は車の真後ろに駐車した。
助手席のドアが開き、男が降り立つ。圭太の車を一瞥した後、後部座席のドアを開けた。男の首にあるチョーカーが妙に目を引く。
開け放たれたドアから修也が出てくる。何事か男と会話を交わし、修也が不審げにこちらへと目を向けた。
圭太は車から降り、そんな修也を睨み付けた。修也の瞳が驚愕に見開く。
「・・・圭太?」
「久しぶりだな、修也」
「・・・なんでここ、に?」
まだ驚きから覚め切らない顔で呟かれた言葉に、胸がギシリと軋んだ。
「それは、こっちのセリフだ。お前、何してんだよ。そんな奴とどこに行くつもりだ」
圭太は修也を詰ると、後から降り立った男に目をくれた。
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