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「圭太、聞いてるのか?とっとと帰れ」
剣を含んだ修也の声が、圭太の柔らかな部分にグサグサと突き刺さる。
なんで、こんな扱いを受けなきゃいけないんだ。俺はただ・・・修也に会いたかったんだ。修也と話がしたくて・・・でも、こいつはそうじゃなかったってことだよな。
切なくて、悲しい。邪険にされて腹が立つのに、恋しくて仕方がない。胸が引き裂かれるくらい痛くて・・・その痛みを堪えるように、キツく目を閉じて、痛みをやり過ごそうとした。
微動だにしない圭太に、焦れたように修也が動いた。足音も荒く歩いてくるとその腕を掴む。
「圭太!」
一際強く名を呼ばれて、圭太の中で何かがプチリと音を立てて切れたような気がした。実際、切れたのかもしれない。ギリギリまで耐えた心が、修也に向かって牙を剥くのが分かった。身体も心に従った。
腕を激しく振り払い、修也を押し退けた。圭太の行動に驚いた修也が目を瞠る。
「・・・お前は、一体なんなんだ?」
怒りに声が震えた。
「・・・圭太?」
戸惑う修也をキッと睨み付けた。
「お前・・・俺に別れ話を持ち掛けた時、俺の為だとか抜かしてやがったけど、本当の理由はそいつなんじゃねぇの?」
「・・・どういう意味だ?」
怪訝な顔を向ける修也が腹立たしい。
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