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キスされたと気付いたのは、唇が離れたあとだ。目を丸くする圭太に、修也はホッとした笑みを向けた。
「やっと言いやがったな。この強情っぱりめ」
「・・・なんで、キス・・・?」
「そりゃ、したかったからに決まってる」
「したかったって・・・」
「惚れた男にあんな可愛い告白されたら、誰だって理性が飛ぶだろ」
「・・・惚れた男・・・?」
戸惑う圭太に「ああ、そうだ」と修也が笑う。
「・・・だ、誰が」
「圭太に決まってんだろ。お前と同じ・・・いや、それ以上だ。俺の方がずっと深く愛してる」
「・・・愛して、る?」
「ああ。お前だけだ。だからつい、苛めた」
修也は悪かったなと呟く。
「最初はそんなつもりなかったんだけどな。・・・このマンションに出入りする奴はヤクザばっかでな。知らない奴が見たら、圭太もそうだと思われるだろ?圭太が厄介なことに巻き込まれでもしたら、俺は後悔してもし足りないくらい悔やむからな。だから、帰れって言ったんだ。決して、お前を拒絶した訳じゃないからな?」
勘違いするなよ?修也はそう言って双眸を細めた。
「・・・ヤクザ?・・・えっ?」
混乱する圭太を他所に修也は話を進めて行く。
「俺も訳が分からなくて、把握するのにちと時間が掛かっちまった。なんかお前は怒ってるが、理由がさっぱり分からない。その内、圭太が誤解してると気付いたんだが、嫉妬されてるんだって思ったら嬉しくてな、もっとって思ったんだ」
その告白に、圭太は混乱しているのも忘れ、修也を胡乱な目で見上げた。
もっとなんて可愛らしい言い方して誤魔化してはいるが、内容を考えれば最低だ。
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