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「ここは、奴が住むマンションだ。色々事情があってな、外飲みはしない方がいいってんで、ここに来たんだが、奴は既婚者だ。嫁も子供も一緒に住んでる。二人っきりじゃねぇぞ?」
「き、既婚者?」
「ああ、そうだ」
「既婚者!」
「ああ」
既婚者・・・圭太は呆然と呟いた。
既婚者だからと言って、奴とは何もないっていう根拠にはならない。でも、嫁と子供が居て二人っきりじゃないのなら・・・本当何もないのだろうか?誤解なのか?
・・・でも、俺はこの話を進藤に聞いた。もし、修也が言っていることが真実なら、進藤が嘘を吐いたことになる。・・・何故、進藤は俺に嘘を教える?そんなことをして奴に何の得がある?
「なぁ、圭太。お前にそれを教えたのは誰だ?」
圭太の思考を読んだかのように、修也が訊ねた。
まぁ、予想は付くがな。小さな呟きと共に。
「・・・・・・進藤」
「やっぱり奴か」
修也は、疲れたと言わんばかりに大きく溜め息を吐き出した。
「お前は奴に踊らされ過ぎだ」
「なぁ・・・どっちが本当なんだ?」
「何が」
「お前と進藤」
「お前・・・まだ、言うか。俺に決まってんだろ!何で恋人の言うことが信じられねぇんだ」
圭太は目を眇めてみせると「だからだろ?」と修也を見据えた。
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