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エレベーターを降り、足早に廊下を歩く。修也は扉のロックを解除すると、圭太を部屋の中へと押し込めた。
バタンと音を立てて扉が閉まると、修也が腕を回し強く抱き締めて来た。
「圭太、圭太っ」
掠れた声が耳元を擽ぐる。身体を撫で回され、腰を押し付けられ、修也の情熱に流されそうになり、そんな自分を戒めた。
「待って、待ってくれ。・・・おれは、まだ納得出来てないんだ」
「・・・無理だ」
黙らせようとキスを仕掛けてくる修也を、必死になって躱す。
「・・・だ、ダメだ。九条とお前の間に、何もないのは分かったが、まだ状況を把握し切れてない」
何がどうなっているのか訳が分からない。どうしてあいつがそんなことをする必要がある。
「・・・今か?後にしろよ」
「で、でもな」
「安心しろ。スバルの野郎は後で一発殴るから。お前は何にも気にするな・・・てか、こんな時に他の男のことを考えてんじゃねぇぞ」
お前は俺のことだけ考えてればいいんだと、耳元で囁かれれば、もう何も考えられなくなる。
あの日からずっと焦がれて来た。修也に触れたくて、触れて貰いたくて仕方がなかった。恋い焦がれた相手が狂おしい程の熱をもって求めて来てるのだ。拒める筈もない。
圭太も思いは同じなのだから。
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