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それでも他人様のマンションの玄関で、コトを始めるのはさすがに抵抗を感じて、圭太はベットに行くことを要求した。
修也はイヤな顔はしたが、特には何も言わずに圭太の肩を抱き、足早に部屋へと入った。そこはソファとローテーブルが置かれたシンプルな部屋で、右奥には対面式のキッチンがあった。
修也は辺りを窺う様子も見せず部屋を素通りし、隣の部屋へと続く扉を開いた。部屋の真ん中には、デンと大人三人が余裕で寝られるくらいのベットが置かれていて、圭太は目を丸くした。
思わず扉とベットを交互に見遣る。
「デカイベットだな」
「だな」
苦笑混じりに同意する圭太を、修也はベットへと突き飛ばした。スプリングの良いベットの上で、圭太の身体がボヨンと跳ねた。
「お、おい」
何するんだという抗議の声は、のし掛かり唇を塞ぐ修也に阻まれた。
下唇を甘噛みされ、境目を舌でなぞられる。促されるがまま唇を開くと、滑りを帯びた肉厚の舌が入り込んできた。
修也とのキスは好きだ。まるで貪り尽くすかのように激しい反面、優しく労わるような口付けを繰り返す。飴と鞭を交互に使い分けて、圭太を蕩けさせるのだ。
吐息混じりの声。情欲を灯す瞳。熱く滾った身体。汗や匂いにもイチイチ煽られた。
修也に溺れている。
「・・・圭太っ、愛してる」
誰が嘘を吐いたとか、騙したとか、もうどうでもいい。抑え切れない程の欲望に貫かれ、修也の思いのたけを注ぎ込まれる。それだけで充分だった。
「しゅう・・・愛してる」
愛し愛される喜びに身を委ね、圭太は修也を見つめた。見つめる視線に気付き、修也がその目を見返した。
二度と失いたくない。その為なら何だってする。幸せな余韻を全身に感じながら、二人は熱いキスを何度となく交わし、思いに突き動かされるまま激しく求め合った。
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