浮気と本気の境界線

第５章

「それを聞くのか」
「・・・本当なら、先に話し合わなきゃ行けないこと何だろうけどな」

本能のままに、求め合ったあとでする話ではないと思うが、うやむやにしたらきっと後悔する。

「修也が何を考えて、何を思ってるのか知りたい。いや、知らなきゃいけない気がするんだ」
「圭太の気持ちは受け止めた」

それでいいだろ？と問われ圭太は首を振った。

「それじゃあ、なんの解決にもなってないだろ？蟠りは全部吐き出せよ。不安に思う度に別れ話をされたんじゃ堪ったもんじゃない」

その言葉に、修也は仕方ねぇなと呟く。何が仕方ねぇんだとは思ったが、心の中でだけに留めた。

「・・・本気で別れるつもりでいた」
「・・・っ」

そうなんだろうとは思っていたが、その事実は思いの外、圭太にダメージを与えた。顔を強張らせる圭太に修也は続けた。

「圭太の元嫁にな、お前と風太を返せと詰め寄られたんだ。風太はまだ幼い。母親が必要な年だし、圭太にしても、ゲイじゃないのに俺が誘惑して誑かしたんだろうって、詰られたんだ」
「あいつ・・・」

眉根を寄せる圭太に修也は曖昧に笑ってみせた。

「だからと言ってな、諦め切れるもんじゃない。やっと想いが通じ合って、蜜月の真っ最中なのに何で別れなきゃいけないんだって、突っぱねた。・・・・・・だがな」

蜜月って、と赤い顔をして呟いていた圭太は、最後の『だがな』の言葉で視線を向けた。