5章おまけ

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「やっぱりそれのせいか」 圭太には昴が何でそんなことをしたのか分からないと惚けたが、何となく予測はしていたのだ。 自分が言ったその言葉のせいじゃないかと。 『小原かなりキテたんじゃねぇか?・・・嬉しかっただろ?』 「・・・・・・まぁな」 目くじらを立てて怒る圭太を見て喜んだのは事実だ。 でもだ。それでも一言文句を言わなきゃ気がすまない。 「だとしても、遣り過ぎだ。あいつ、泣いたんだぞ?」 修也は唸るように昴を詰る。 『それは、俺のせいか?』 「決まってんだろ」 『違うだろ。どうせ、お前のことだ。小原の怒った姿が嬉しくて、暫く本当のことを言わなかったんじゃねぇの?あいつがお前に食って掛かる顔を堪能してたんだろ』 昴の核心をついた問いに、修也はうっと言葉を詰まらせた。 「・・・九条に聞いたのか?」 『何年付き合いがあると思ってんだ。お前の考えることなんかお見通しだ』 修也はバツが悪い顔をして押し黙った。 『人に罪をなすりつけるな。そんなことにまで責任は持てねぇよ』 「・・・可愛かったんだ」 修也は懺悔するように呟いた。 諦めた顔で『もういい』と呟いた圭太を見て、修也はやり過ぎたと気付き、慌てて圭太を呼び止めた。 あのまま行けば、永久に圭太を失うところだった。 修也は、ぶるりと身を震わせた。 『仲直りは出来たんだろ?』 苦笑を零す昴に頷く。 「まぁな」 『だったら結果オーライだ。俺の嘘は修也に比べたら可愛いもんだろ。そんなに殴りたいなら自分を殴っとけ』 そう言うと昴は、話は終わったとばかりに電話を切る。 修也はうぅーと一つ唸り声を上げた。自分の掌を見つめ、暫く逡巡したあと右頬を叩いた。 しんとした部屋の中に、パチンとこぎみいい音が響く。 「痛え」 トホホな気分で修也はスマホをソファへと投げ捨てた。 おまけ 終
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