EP63 破壊神降臨

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目の前には、ただひたすら淡い緑色の景色が広がっていた。 空気中に舞う煙のようにも、押し寄せては引く波のようにも見える。 何処が上か下かも分からない空間。 そこにカイトは浮かんでいた。 全身ボロボロで体は全く言う事を聞かない上、魔力も底を突く寸前まで削り取られてしまっていた。 不思議だったのは、意外に意識がはっきりしている事だった。 この魔素に満ちた境界の中に落とされた以上、魔素中毒になるのは時間の問題であり、思考も人格も肉体も全てを失う筈だった。 恐らくはカイトの持つ魔素に対する耐性能力が、魔素中毒の症状が現れるのを遅らせているのだろうが、これだけ純度の高い魔素に満たされた空間ではそれも長くは持たないだろう。 死ぬのがほんの少しばかり先延ばしになった程度に過ぎない。
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