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壁に寄り掛かり、煙草をくわえる青年がライターで火を点けようとしていた。
しかし、突然吹いてきた風にライターの小さな火がかき消されてしまい、青年は不機嫌そうに舌打ちをする。
カチカチと音を立てながら火を点ける為のライターボタンを何度も押し、奮闘を続けるが、やはり結果は同じだ。
吹いてくる風の強さにライターの小さな火が勝つ事はなく、点火させる事は出来なかった。
煙草をくわえたまま深い溜息を付き、青年が煙草を諦めてポケットに戻そうとしたその時、隣にいたもう1人の青年が火を差し出してきた。
「お、サンキュー」
再び口にくわえた煙草に火を点け、煙を吹かす青年の表情は満足そうだ。
その火は先程のライターより風に強いジェットライター、ではない。
人差し指から直接、真っ赤な火を出しているのだ。
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