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明くる日
その日ミナはいつも通りの時間に起きた。
まだそれほど馴染んではいないが、アルシュファイド王国の自室であることを認め、ほっとする。
彩石のニモと鳥は健在だ。
ミナは微笑んで2体の頭を撫でる。
着替えて、露台から観賞のためだけにある庭を眺め、朝食が運ばれるまで2体と過ごし、食事を摂る。
ずっと大勢で食卓を囲んでいたから妙な感じだが、ひとりも、落ち着いて、いい。
身支度を整えて、ミナは土産を開いた。
年嵩の男たちには産地違いの豆茶を、少年たちには焼菓子や酒菓子を。
女友だちにはヌェメで買った布と、焼菓子を。
ミナは、さてどの機会に渡そうかと悩んだ。
今日は一日イルマたちは休みだ。
出掛けようと思ったら、誰かに護衛を頼まなければいけない。
今日は朔(さく)の日で、まずアークとカリとファラは仕事だ。
サリは主にカリの手伝いをしていて、水の宮に居ることが多い。
ミナはまずテオの分を持って王城書庫管理官室に向かい、手渡した。
それから、女友だち向けの土産と男たちに向けての土産を分け、10時の休憩時間に彩石騎士居室に向かった。
カィンは結界補正のため居なかったが、ルークと彩石騎士のひとり、スー・ローゼルスタインが来ていたので、シィンとアルとファイナも含めて渡し、そこでアークに昼休憩の約束をした。
休憩が終わる前に宰相執務室に入ってユラ-カグナにも渡し、昼まで自室で寛ぐ。
昼になると約束通りアークたち…アルとファイナも付いてきたので、3人と出掛け、カリ、サリ、ファラと会った。
その場で土産を渡し、週末会う約束をする。
昼からは少し外に出たいのだがと言うと、案の定、護衛の件を持ち出される。
「実は、あてがあって。ファロウル・シア・スーンと彼の友人2人にお願いしたいと思うんです」
ミナにしては珍しい。
詳しく聞くと、ファロウルは透虹石の少年…パリスと同じ力を持つ少年の兄だと言う。
「まあ、ラフィのお兄さまですのね。一度お会いしてみたいですわ」
ファラは、当の透虹石の少年の修練に付き合っていて、浅からぬ付き合いなのだ。
今日も、15時の休憩後、修練に来るということなので、様子を見に来ていいかと聞くと、もちろん、と笑顔で答えてくれる。
そういうことで、一旦城に戻ってファロウルの所在を確かめた。
運良く、代わりの居る黒檀塔の倉庫警備だったので、時間を空けてもらい、青髪と赤髪の少年たちを連れてくるよう頼む。
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