第十章 危機

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 男三人に押さえつけられ、逃げる間もなくベッドにうつ伏せにされる。畠山が陽向に顔を近づけてきた。 「上城の奴、今夜、俺を呼びだしてるんだ。きっちり話をつけたいから、店がはけたあとのザイオンに来てくれって言いやがってさ。  多分、あんたのことなんだろう。行くつもりだったがやめることにするわ。その代わり、ここであんたをヤってやる。  そうすりゃあいつの悔しがる顔が見れるからな」  確かに、と男のひとりが笑いながら陽向の背中に片足をのりあげる。背骨を膝でごりっと擦られて、痛みに悲鳴が出た。 「……いっ」 「脱がせろ」 「や、やめっ……」  ベルトに手がかかる。恐ろしくなって暴れると、髪を掴まれ頬を叩かれた。  顔をベッドに押しつけられて、息ができなくなる。腕をひねりあげられて、痛くて呻き声がもれた。 「……やっ」  いくつもの手がのびてきて、身体を拘束され、ズボンが剥ぎ取られそうになる。  一体、なにをされるのかと考えるだけで怖気がきた。  怒らせても、ただ殴られる位だろうと想像していた陽向は、異様な展開に戦慄した。 「誰からヤる?」  野卑た笑いが背後から聞こえる。氷漬けされたように全身が震えだした。 「俺からヤらせろ。次がおまえだ」 「おっけぃ」 「ヤり終わったら、服、全部ひん剥いて、上城の店のまえに放りだしてやろうぜ」 「それいいな」  男らの笑い声が耳の奥で反響する。  畠山が手をのばして、服の上から陽向の股間を握ってきた。怖がって縮こまる場所を、手のひらで乱暴に揉みあげる。 「……っ、あ、……やっ」  拒否の言葉が食いしばった歯の間からもれた。けれどそれは男らを煽っただけのようだった。  畠山が陽向の耳元で、ねっとりと絡みつくように卑猥な文句を投げてくる。 「一晩中、ここで四人で可愛がってやるよ。酒もクスリもたっぷりあるしな。動画も取って素人モノで配信してやる。上城がそれを見てどんな顔するか、楽しみだな」  薄笑いとともに、陽向のものを無造作にいじってきた。嫌悪感で一杯になるが、逃げだす手立てがない。  ――ああ、もうダメだ。  下着に手をかけられ、陽向は観念した。  ずりさげられて、皮膚が粟立つ。誰の手かわからないものが、内腿に這わされる――。
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