01.秋の空は

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 最近、この怱々町(そうそうまち)では奇妙な噂が絶えず蔓延している。例えば住宅街のど真ん中で、巨大な蛇の頭が道をふさぎ、大口を開けてやって来る人を飲み込もうとしているだとか、とあるカーブミラーからは、怱々町とそっくりの同窓町(どうそうまち)という別世界に繋がっているだとかで、迷信にしてはやけに生々しい体験談が、この町で、僕の学校で持ち切りになっている。  駅前の通学路を登校していると、今日もナナはやって来た。 「よっ」 「あぁ」  後ろから、慣れ親しんだ声が聴こえれば、振り返る必要はない。ナナは僕の隣を歩きながら、こちらを一瞥した。 「眠そうだね、"くま"が見える」 「徹夜だったんだ」 「ふうん。もしかして、先週締切だった、世界史の?」 「いや、それは出した」 「え。君が宿題の締切を守ったって?」 「たまには本気を出すもんだ」  へぇ。ナナが隣で不思議そうに、首をかしげている。別に、大したことはやっていない。そう言う前に、彼女は話題を変えてしまった。
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