第一章

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『教室の前のほうの扉から外にでて、しばらく歩いたら、行き止まりでないほうに向かってあるいてね。そのさきにエントランスホールがあるから、そこで待っていてください。ちなみに、十五分以内にエントランスホールに来なかった生徒は、殺しますのでご注意ください』  えらく物騒な単語が聞こえた。  殺す、だって……?  しかし、目の前で起こっている超常現象を目の当たりにして、俺たちはその言葉を戯言として聞き流すことは、到底できなかった。   何人かの生徒が、びくびくしながらも教室の外へ出ていく。俺と田中も、おそるおそる教室の外を覗いた。  そこは学校の廊下ではなく、何やら大きな洋館の廊下のようになっており、柔らかそうな赤い絨毯が敷かれていた。  俺はおそるおそる教室の外に足を踏み出す。柔らかい絨毯が、俺の足を包み込んだ。  他の扉からも、俺たちと同じ制服を着た生徒たちが少しずつ出てきていた。おおむね見たことのある顔ばかりだ。どうやらここに来たのは、俺たちのクラスだけではないらしい。  左側は行き止まりなので、右側に向かって歩く。しばらくすると、大きなエントランスらしき場所に出る。  出口には大きな扉。奥には巨大な階段が二回に向かって伸びていて、天井には大きなシャンデリアがかかっていた。  まるで城の入り口のようだな、と俺は思う。  しばらくして、ぞろぞろと沢山の生徒が集まってきた。他のクラス、学年の生徒もいるらしく、  となると、あいつも……。  俺は生徒をかき分けて、その姿を探す。しばらくして俺はその姿を見つけることができた。 「加奈!」  俺は尾畑加奈おばたかなの肩を叩く。加奈はセミロングの肩を揺らし、ぱっちりとした目を見開きながら俺のほうを見た。 「樹くんも来てたんだ……。これ、なんなんだろう」 「さあ、俺にもわからん」  いったい何が起こっているのやら、皆目見当もつかない。 『えー。集合時間はまだだけど、もう全員集まったみたいなので、始めさせていただきたいと思います』  エントランスに響く先ほどと同じ声。階段の上に、なにやらデフォルメされた虎のような顔をした、二頭身のぬいぐるみのようなものが現れる。 『こんにちは! 僕は島三郎です! みんなよろしく!』  ぬいぐるみは何やら口を動かして、手を振りながらそんな言葉を発し始めた。 
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