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叫んでいた生徒に、「わたしも黄色なんだけど……」と一人の女子生徒が声をかける。どうやら二人はそのまま勝負をすることに決めたらしい。
ケーブルをつないで、二人がボタンを押す。
「あっ……」
男の前には赤い妖精が出現し、女の前には黄色の妖精が現れた。
赤い妖精の額の数字が1から2に上がり、黄色の妖精を薙ぎ払う。
その瞬間、女生徒は苦しそうな顔で倒れこんだ。
「よっしゃ!!!!! オレ生き残り!!!」
男は小躍りして女子生徒を一瞥することすらなく大階段を駆け上がっていった。
「なに……? あれ……」
「そういうことか……!」
俺は気づく。
わざわざ自分が黄色と言っている奴に、青の奴が声をかけるわけがない。そうなると、声をかけられるのは、同じ色の黄色か、それに勝てる赤ということになる。
つまり赤のやつが自分は黄色と言っておけば、近寄ってくる奴との勝負で必ず生き残れるのだ。
もちろん時間がたてば裏をかかれる可能性もあるから、これが通用するのは序盤だけだ。
しかし、思いつくのはまだしも、それを即座に実行に移せるのは並大抵の精神ではない。なにしろ失敗したら死ぬのだ。それが嘘でないことは、先ほど散った鮮血が証明している。
加えて目の前で絶命する生徒を見ても一切心が動いていない様子だった。
どうやら、とんでもないサイコパス野郎が紛れ込んでいるらしい。
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