6人が本棚に入れています
本棚に追加
「だれか……誰か、助けて!」
扉の向こうから聞こえた悲鳴に、俺は――正直げんなりした。
数日前、俺はとある貴族の依頼を受け、邪悪な魔女にさらわれた娘を救う為、この迷宮へやって来た。
本来なら、そのさらわれた娘かもしれないと、何をおいても救出に向かうべきだろう。
だが、今の俺にはそんな気などこれっぽっちも起きやしなかった。
俺だって、最初からこんな風じゃなかったさ。
そう、あれはこの迷宮に入って間もなくの事。
今思えば、あれがすべての始まりだった――
最初のコメントを投稿しよう!