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「大丈夫か!?」
「ああっ、ありがとうございます」
と、俺にしなだれかかる美少女。
役得役得、なんてニヤけたのもつかの間、触手(水中にもいたらしい)が、俺に巻きついてきた。
しかし、もがこうにも腰の剣を抜こうにも、抱きつかれている為に思うように体が動かせない。
っていうか、妙に力が強くないか、この娘……?
「……こ、このままじゃヤバいんで、ちょっと離れて……」
「ダメです。せっかくエサにありつけたのに」
そう言って妖艶に歪んだ唇の隙間から覗いたのは、人らしからぬ鋭い牙。
コイツ――!!
だが、時既に遅し。
次の瞬間、俺はものすごい力で水中に引きずり込まれた。
にごって視界の悪い中、俺はそれでも何とか敵の姿を見定めようと目を凝らす。
巻きつく触手の元をたどると、それは全て女の体につながっていた。
スキュラ――。
醜い触手の下半身を水中に隠し、溺れたフリをして獲物をおびき寄せる魔物の事を、ようやく思い出した。
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