6人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
しょっぱなからヒドイ目にあったが、ここで依頼を放って帰る訳にもいかず、俺は気を取り直して迷宮をさらに奥へと進んだ。
しばらくは、順調だった。
元々腕に覚えはある。
油断さえしなければ、このぐらいの迷宮は朝飯前だ。
……なんて事を思っていた矢先、
「だれか……誰か、助けて!」
絹を裂くような悲鳴が、通路の奥から響いてきた。
さっきの一件もあり、一瞬、躊躇したが、やはり放ってはおけない。
俺は意を決して駆け出す。
するとすぐに、悲鳴の主らしき金髪美少女がこちらに逃げて来るのが見えた。
よし、今度こそ依頼の娘か?
「おい、大丈夫か!」
「た、たすけてください!魔物が!」
見れば、キイキイと耳障りな声を上げながら、小悪魔(インプ)の群れが彼女を追って迫ってくる。
俺は息も絶え絶えな様子の彼女を背後に下がらせ、剣を抜いて身構える。
最初のコメントを投稿しよう!