ある冒険者の憂鬱

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◆ しょっぱなからヒドイ目にあったが、ここで依頼を放って帰る訳にもいかず、俺は気を取り直して迷宮をさらに奥へと進んだ。 しばらくは、順調だった。 元々腕に覚えはある。 油断さえしなければ、このぐらいの迷宮は朝飯前だ。 ……なんて事を思っていた矢先、 「だれか……誰か、助けて!」 絹を裂くような悲鳴が、通路の奥から響いてきた。 さっきの一件もあり、一瞬、躊躇したが、やはり放ってはおけない。 俺は意を決して駆け出す。 するとすぐに、悲鳴の主らしき金髪美少女がこちらに逃げて来るのが見えた。 よし、今度こそ依頼の娘か? 「おい、大丈夫か!」 「た、たすけてください!魔物が!」 見れば、キイキイと耳障りな声を上げながら、小悪魔(インプ)の群れが彼女を追って迫ってくる。 俺は息も絶え絶えな様子の彼女を背後に下がらせ、剣を抜いて身構える。
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