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鍵を受け取ると、自転車を車庫に入れた。車を探してみると、白の小型車で、かなりの旧式であった。誰の趣味で車を選んでいるのか分からないが、マニュアル車は厳しい。クラッチを踏むなど、今の人間は知らないだろう。
でも、確かに俺は、バイトを点々とした時に、旧型の車の運転を覚えていた。
「行くか……」
でも、社用車には冷暖房も必要であろう。この車、ライトが付くのが不思議なくらいであった。
安田の実家に到着すると、安田、織田の話から世界を構築してみる。遊んだ公園、海と山、そして川。納屋はどこにあったのか。
「こっちか」
山に向かって畑が続く。そこに、古い納屋が見えてきた。この納屋は、昔、ここに建物があった名残のようであった。
納屋以外には周囲に建物はなく、畑しかない。納屋の扉を開けようとすると、かなり朽ちていた。扉を開けようとすれば、扉が壊れてしまいそうであった。
そっと扉を外して横に置くと、懐中電灯で照らしてみた。納屋の内部は、がらんとして何も無かった。天井に光を当てると、屋根もかなり抜け落ちていた。
積もっている埃の量からしても、ここは、かなりの年月、使用されていない。
二階の部分に続く階段も、何段か抜けていた。
秘密基地は、二階部分にあった。織田は、二階から車を見ていたのだ。そして、安田も二階という言葉を使用していた。
二階に上ってみると、古い道具がそのまま残されていた。天井は低く、物置というよりも天井裏であった。その奥に進んでみると、外れかけた板を見つけた。
秘密基地の入口であった。板を外してみると、中を照らしてみた。
本当に小さな空間に、積み上げられた古い雑誌があった。他に、天井に置かれているマンガ本、何かのヒーローのおもちゃが転がっていた。
二人で一杯になりそうな空間が、秘密基地であったのか。何だか、俺の実家の裏にある、岩場のような気もした。家でもなく、学校でもない居場所が、当時は欲しかったのかもしれない。
すると俺がメダルを隠したように、何か大切な物も、隠しているのかもしれない。柱の上や、板の隙間を探してみた。
すると、天井の上に置かれた、子供服を見つけた。名前が書かれていて、おだ いさみとあった。他に靴も置かれていた。同じく中に名前が書かれていた。
他に何かあるのだろうか。すると、床部分の板と板の隙間に、ノートが挟まれていた。
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