第1章

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 ノートを開くと、幾枚かの写真があったが、ここは暗すぎるのかよく見えない。  他にも何かありのかと探してみたが、隠してあるのはこの二点だけのようであった。隠していないものには、興味はない。  車に戻ると、見つけた二点をビニール袋に入れ、後部トランクにあった、予備のタイヤの下に入れた。  再び運転席に戻ると、デジカメの中身を確認してみる。ここの納屋、秘密基地の様子、そして、服の写真と隠し場所。メモリを抜くと、それを、助手席のシートの隙間に隠す。そして新しいメモリ入れると、動画に切り替えて助手席に置いておく。  先ほどから、視線を感じていた。この殺気は本物で、俺は監視されている。  ボンネットを開くと、俺は、車を修理しているフリをしてみた。  暗闇から足音がしてくる。逃げてしまいたいが、犯人、もしくは犯人を知っている人間の可能性が高い。 「こんな夜分に何をしていますかね?」  体格の良い男性であった。張り付いたような笑顔が、懐中電灯の光に浮かんでいた。 「車の故障です。友人の家に行くところなのですが、ナビがなくて迷子になった挙句、車の故障です」  それらしい嘘をついてみた。 「……納屋を見ていたでしょう?何を探していましたかね?」  笑顔のまま、殴りかかってきていた。避けたが、直ぐに、何か棒のようなもので、頭を殴られていた。地面に血が滴っている。 「俺は、嘘が嫌いだ。納屋で、何を見ていた」  頭が痛い、意識が飛びそうであった。 「……昔、隠したマンガ本」 「そうか、そうか。こんなに綺麗に成長していたのか」  男が再び棒で俺を殴っていた。俺の意識はそこで途切れていた。  目を覚ますと、頭が痛い。傷を手で確認しようとすると、腕を縛られていた。足は縛られていないので、起き上がってみると、どこかの屋根裏のようであった。  小さな窓があるが、曇りガラスで外は見えない。でも、明るさからすると、朝になっているようであった。  猿ぐつわはされていないので、叫んでもいいのだろうか。  窓を頭で押して開けてみると、そこから顔を出してみた。 「ここは、どこだ?」  一面に林が見えていた。屋根は朽ちそうで、誰かが住んでいるという気配はない。  しかも、どこからか煙が漂ってくる。 「ゲホゲホ、ゲホ」  この家?廃墟は、燃やされようとしているのではないのか。
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