第一章 嘘吐きの原理

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 俺、遊部 弥吉(あそぶ やきち)が、 生葬社に就職して一か月が経過した。 分からない事はまだまだ多いが、どうにか一人で接客するまでにはなった。  今日の客は、大学生であった。 俺も、最近までは大学生であったので、話し易いだろうと、 店長、百舌鳥 人類(もず ひとる)が決めたのだ。  大学生ならば、現役大学生の、丼池 成己(どぶいけ なるみ)や、 その同じ年の弟、丼池 昴(どぶいけ すばる)の方が適任ではないのか。  しかし、丼池は学校と工事現場への潜入捜査、 昴はまだ車イスで戦力外であった。 俺しかいないので、俺であるのかもしれない。
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