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私はそれには応えずにカウンターの奥の焼き鳥に目をやった。
黒い煙を上げながら、一緒にいい匂いを撒(マ)いている。
「すごいおいしそう!早く来ないかなあ…」
「…美味しいよ。もうちょっとだよ」
「早く来ないかな…」
「高遠さんて、子供みたい」
吉野くんがクスクス笑う。
「…からかわないで」
「からかってないよ…かわいいなって思っただけ」
その言葉に顔が赤くなる。
私のことが…
…かわいい…?
そして彼は付け足した。
「そういう反応…マジでかわいい。…月曜からこんなんでいいのかな…。…俺も酔いたい…」
吉野くんは
焼き鳥が手元に来るまでに
グラスのビールを全部飲み干してしまいそうだった。
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