決断

20/30
248人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
私はそれには応えずにカウンターの奥の焼き鳥に目をやった。 黒い煙を上げながら、一緒にいい匂いを撒(マ)いている。 「すごいおいしそう!早く来ないかなあ…」 「…美味しいよ。もうちょっとだよ」 「早く来ないかな…」 「高遠さんて、子供みたい」 吉野くんがクスクス笑う。 「…からかわないで」 「からかってないよ…かわいいなって思っただけ」 その言葉に顔が赤くなる。 私のことが… …かわいい…? そして彼は付け足した。 「そういう反応…マジでかわいい。…月曜からこんなんでいいのかな…。…俺も酔いたい…」 吉野くんは 焼き鳥が手元に来るまでに グラスのビールを全部飲み干してしまいそうだった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!