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吉野くんとは焼き鳥の話から始まって、くだらない話で会話に華が咲いた。
その間にも私はいつもより早いペースでグラスの中身を減らしていた。
飲めないくせに
弱いくせに
酔いたいなんて…
顔が火照って
動悸が早い…
しばらくして、グラスを手にする私の手に吉野くんの手が重なった。
「そんな風に乱暴に飲まないでよ。そんなんじゃ、ヤケ酒みたじゃん」
「…そんなこと…」
「俺と飲んでるんだから…そんなペース、いらないよ。そうしなくたって…酔えるでしょ?」
そう言って吉野くんの手が私のグラスをカウンターに降ろし、私の手をギュッと包む。
「…月曜だし、そろそろ送るよ」
賑やかな居酒屋で囁かれた彼の彼の言葉は
これから何かが
静かに始まるんだと予感させた。
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