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深刻な顔して私を見つめる吉野くんに
私は返事をする代わりに彼の肩に頭をもたせ掛けて身体を密着させた。
彼はそれを返事だと受け止め、私の肩を抱き寄せる。
「…一週間後…くらいかな…?」
何か特別なものを待ちわびるような彼を愛しく想う。
「…そんなに楽しみにされると…何か困る」
「…男心をわかってないなあ…高遠さんは」
そこで彼が間を置いた。
「俺たち、付き合うんでしょ?『高遠さん』ってのも変だよね?」
「…そう?」
「…『雪菜』でいい?」
「…名前、よく知ってたね?」
「好きな人の名前くらい、普通知ってるだろ?」
…好きな人…
胸の奥がキュンと縮まる。
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