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30を過ぎた翌日、有無を言わさず姑に引きずられ、久しぶりに東京へ行った。
産婦人科ではなく、レディースクリニック――不妊治療専門の病院だ。
サトミの身体に異常は無かった。
命令口調で彼女を引きずってきた、姑の口調が軟化する。
「今度、清志も連れて来ましょうね?」
最初からそうしろよ、と心の中で毒づきながらも、サトミは微笑で受け止める。
そして、清志は面倒臭がって来ないだろうという事実も受け止めていた。
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