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「……で、その任には誰が向かうのですか?」
「これは、私の方で勝手に決めさせてもらったのだが、ミディとフィーネに行ってもらおうと思う」
「――わ、私ですかっ!?」
思いがけず呼ばれな名に、集団の中に居たフィーネが声をあげる。
「何だ? 問題でもあるのか?」
「い、いいえっ。問題はありません。……ただ、少し驚いただけです」
集団に注目され、フィーネは顔を赤らめ小さくなる。
「なら良い。……では、今宵は解散とする。あと、ミディとフィーネはここに残るように」
エラルノの言葉で会は終了となり、集団はバラバラと部屋を出ていく。
残されたのは、肩まで延びた金色の髪の青年ミディと、どこか不安げな表情をしているフィーネだった。
「フィーネ。何をそんなに不安そうにしているのだ?」
「…………」
フィーネは俯いて何も答えない。いや、答えたくとも、その答えが見つからないといった方が正しいのかもしれない。
「もしかして、あちらに帰ってしまうことで、こちらに戻ることが嫌になってしまうかもって思ってる?」
ミディが男とも女ともつかないような中性的な笑みで、フィーネの顔を覗き込む。
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