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「私は篠原千秋です。中学までは私立の水仙女学苑だったんだけど、両親の決めた学校で、エスカレーター式に高校まで上がるのが嫌だったので、ここを受け直したの。」
続けて千秋が自己紹介をすると、三人が同時に驚いた。
「水女?お嬢様学校じゃないの?!勿体無い!」
「水女って頭が良ければ、入れるって訳じゃないんでしょう?」
「生まれた時点で行ける人と行けない人とが既に決まってるって聞いたよ!」
口々に質問を重ねる。
「でも、それは私自身には関係のないことだもの。清涼高校では、私本当にがやりたいことを見つけるわ。」
千秋はキッパリと言い切った。
「その気持ち、ボクも解るよ。」
自ら剣道を辞めた夏樹は、彼女の考え方が自分自身にも通じるものがある気がした。
「千秋は随分しっかりしてるなぁ~。」
真冬が呟く。
「あれ?もう名前で呼んでるんだ?」
春海がビックリして尋ねる。
「うん。ほら私達は席が前後で並んでるじゃない?だから真冬とは最初に友だちになったの。」
千秋が、代わりに答える。
「ねぇねぇ、ボク達も名前で呼び合おうよ!」
夏樹が身を乗り出して提案する。
「ハイ賛成!」
春海も大きく手を挙げた。
「わたしも、ね♪」
真冬は頷き、千秋に目配せした。
「異議なし♪四季物語の始まりね。」
千秋は、担任の田宮の言葉を借りて微笑んだ。
「じゃあ決まり!それじゃ早速、つぎは真冬の話を聴かせて。」
夏樹が嬉しそうに彼女の名前を呼んだ。
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