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「貴方達を含めてアルカナス自体が私達にとって悪意なのよ。」
グウィネアの言葉にイゾルデは顔をしかめた。
「当たり前じゃない?魔女の存在を悪と決めつけるアルカナスの方針に反感を持つのは。神女が権力を独り占めしてね。」
「アルカナス、いえ、神女様のお陰で魔女の被害は抑えられている。」
イゾルデは反論した。
「そうね。拮抗しているといったほうがいいかしらね。」
それはイゾルデも否定はできなかった。
心の片隅で、不敬なことではあるが、魔女の力を抑えるのが精一杯で、殲滅までには至れないのではないかと思うことがあった。
現にドラスを殲滅した緋色なる夢見姫を抑えられなかったではないか。
「力を持つことの何が悪いのかしら?そう思わなくて?
」
「私にアルカナスに対する不満を言わせるつもり?」
「ではなんで私に会いにきたのかしら?」
口の端を吊り上げてグウィネアは微笑んだ。
どうして力を失ってしまうのか、それが知りたくて、何故ならそれが不満だからだろう?
グウィネアの言わんとするところを、イゾルデは反論できなかった。
「だったらあなたは魔女に変形するのをやめるつもりはないわけ?それも疑問なのよ。」
「やめるつもりはない、というより必然の成り行きだからやめようもないわね。」
「その必然とはどういうこと?見習いは必ず魔女に変形する、そのことゆえに聖導女がいると言ってもいいくらいだわ。」
「力は人のカタチに納まらないのよ。力の存在、それ自体が摂理からの逸脱よ。神女も例外ではないわ。あれは大いなる逸脱よ。しかもその力をもって君臨している。」
グウィネアの口から摂理という言葉が出ようとは。
「そしてそれは私達に言える。」
「さっき力を持つことを否定しなかったじゃない。」
「持っていることと、それ自体がどういうことかを論ずるのは別のことね。」
「ならば、あなたはこう言いたいのね?力の根源は一つであり、それが枝分かれしたのだと。」
「そうよ。察しがいいわね。」
「聖なるものも魔なるものも、元は一つ、というの?」
「それが逸脱であり、逸脱しているからこそ、人として生きることはできないのよ。そう、私もね。聖導女が力を剥奪されるのは寛大な措置よ。だから力を失うのを良しとしなさいよ。普通が一番よ。」
「私の質問に答えていない。魔女に変形するのは力を保持し続ける結果だというの?ならその力を放棄する選択はないわけ?」
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