第3章 輪舞は終わらない

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「放棄?放棄ですって?貴方は放棄できるの?」 クスクス笑いながらグウィネアは言った。 「そうあるべき理由はあるわ。」 力を持つ、それ自体がそもそも間違いだとグウィネアは言う。 しかし善なる心の元にあれば人々を救う光になる。 そうでなければその力は排除するべきだ。 そこに何の間違いがある? 非があるというのか。 「貴方達がいる以上はね。そうね、力を奪われるのがイヤで見習いになったのかしら?」 「ふふ。聖導女に興味ないわ。魔女に興味があったのよ。私はね。」 「力を持てる者でい続けたかったわけね。」 「もちろん。」 イゾルデは隣で黙って座っているウェンズデイを睨んだ。 「貴方はどうして見習いになったのよ?」 「お前達が救済者面をしているからそうした。」 「私とは違うのよ。ウェンズデイは。」 「救済者面って…。」 実際に人々を見習いや魔女の災厄から身を挺して守っているではないか。 ウェンズデイの言うことがわからない。 「力が欲しいならそう言えばいい。」 「え?」 「あらあらウェンズデイったら。」 力が欲しいならそう言えばいい? くく、とグウィネアは忍び笑いをした。 「どういうこと?」 「おすすめはしないし、貴方ならしないでしょうよ。」 「力を得る方法があるの?」 「魔女と契約するのよ。」 イゾルデは慄然とした。 「見習いになれと?いえ、できない筈よ。」 「魔女は案外寛大よ。力を欲する者を拒まないわ。まあ魔女の支配下に置かれるから、見習いですら恐れをなすけどね。」 そんなことがまかり通ってなるものか。 「意味ないわ。聞き捨てならないけど。」 「でしょう?」 「力を保持したければ提案はそれに尽きるけどね。力を失う理由はもうわからないとは言えないのではないの?」 「…。」 力を保持し続けることが危険で、力を失うのではなく、失わされる。 グウィネアはそう言いたいらしい。 それではアルカナスにいいように利用されたようなものではないか。 力を失くしつつある私が危険を侵して見習いと接触しても、たいしたことではないと? 「何で魔女が跳梁跋扈し、アルカナスが存在するのか、当たり前のように受け入れてはいるけど、不思議なことよねえ。」 他人事のようにグウィネアは言った。
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