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「手段は選ばないのね?なら、魔女と契約して新たな力を得るしかないわね。現にそれしか手段はない。」
「魔女の支配下に置かれては意味がないわ。」
「魔女を狩るのが目的なら、魔女と同等の力を得なくては意味がないと思わない?それは今迄戦った経験からも分かる筈よ?」
グウィネアの言葉はもっともだった。
イゾルデはこれまで六体の魔女を狩った。
これは聖導女の中でも群を抜く数だったが、単身で狩ったのは二体で、両体とも魔女としては矮小な類だった。
緋色なる夢見姫のように強大な魔女となればさすがのイゾルデも単身で挑むには困難だった。
「・・・。」
「簡単な話よ。魔女と契約して得た力で魔女を狩る。」
「それを魔女が許すというの?」
「魔女は単体でしか行動しないのよ。生存の為に群れを作ることをしないの。人間のようにね。人格もないから感情もないの。」
そんなことは聖導院で教えられたことがなかった。
「なら、支配下に置かれる、とはどういう意味なの?」
「魔女と同一化するということ。」
イゾルデは慄然とした。
「それは、魔女になるということじゃないの!」
ニヤリ、とグウィネアは笑った。
「そうね、通常の魔女なら、ね。」
「通常?」「四方の魔女王、聞いたことがあるでしょう?」
東西南北の四方を統べる、魔女の筆頭格だ。
「彼女達は遥か古代より君臨する魔女で、人格を備えているという話は聞いたことあるかしら。」
「人格を備えている?」
「そう、彼女達と契約を結べば支配下に置かれても同一化を免れることができる。」
「その、四方の魔女王が他の魔女を倒すのを許すというの?」
フフっとグウィネアは笑った。
「交渉次第だと思うわ。それに、その魔女もやはり倒すのでしょう?」
グウィネアの言わんとするところがイゾルデには理解できた。
裏切りだ。
「手段は選ばないのでしょう?」
グウィネアの一言がイゾルデの胸に刺さった。
「え、ええ、そうよ。」
「あなたのために考えられるのはこれに尽きるわ。あとはあなた次第。」
「私のため?ずいぶんと親切にしてくれるのね?」
イゾルデは危うくグウィネアが見習いであることを思い出した。
「あなたは私の好敵手だったわ。もうすぐヒトではなくなるもの、少しぐらいいいことをしようかと思ったのよ。」
「いいことを?私はあなたを殺すつもりでいるのよ?」
「面白いじゃないの。またあなたとやり合えるのね。」
「何を、考えているの?」
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