第4章

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そんな晩餐の様子を覗いている少女達がいた。 中等部の聖導女達だ。 鏡に晩餐の様子を映して、誰に目をかけようか、それぞれ相談していた。 「この子がオズマ・カンザス?」 「生意気ったらないわよ。」 腹立たしげに言ったのは勿論ブリュンヒルデだ。 「誰とペアを組むのかしらね。」 鏡はオズマの姿を拡大する。 鏡を自在に操っているのはラマヤだ。 「他にどんな子がいるの?」 アトランタは興味深々だ。 「覗くのはできるけど、どんな子がいるのかまでは分からない。」 「この子炎の操り手ね。」 ラマヤが言った。 目のきりりとした少女が鏡に映っている。 「名前はラダ。」 「ふうん、私と同じかあ。」 ルグエンがつぶやいた。 「どんな炎を繰り出すのかな?」 「この子はお姫様よ。」 グウェンダリンの姿が映る。 「あら。」 「エリザベタと同じね。」 「どんな力を持っているの?」 「私と同じかなあ。」 ラマヤは首をかしげた。 「私と同じのはいないの?」 アトランタが身を乗り出した。 「スライアとかいう、この子かな?」 金髪のおとなしそうな少女が映る。 「まあかわいらしいじゃないの。」 ュンヒルデ、ラマヤ、アトランタ、ルグエンはいわゆる仲良し四人組で、中等部の中でも屈指の強さを誇る。 彼女達は「鳩の巣」に集って新たにやってきた少女達を吟味しているわけである。 彼女達だけではなく、新入生の到来を楽しみにしている上級生はいる。 彼女達にとって見習いや魔女と戦うパートナーを選別することは重要なことだった。 ブリュンヒルデ達四人は上等部になる。 「導騎士マグダレーナ姫の側近が来たとか。」 「来ているわ。名前はターニャよ。」 「私は彼女に興味があります。」 ふふ、と笑い声がした。 旅宿「鳩の宿」の女主人ハナである。 「余念がないわね。懐かしいわ。」 元聖導女のハナは聖導女の為に旅宿を割安で貸していた。 熱いお茶を注ぎながら「やはり相性がものをいうからね、良い人と組むのが一番よ。」と笑った
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