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「ここでは王族として扱わなくてもいいし、そうしてはもらいたくはないわね。」
「だって私達ルーデル王国からきたんだもん。知ってるよ。ラブラロス第一王女のグウェンダリン・エメラルダ様のことは。」
「だって私達ルーデル王国ラグラネス公の愛娘だもん。知ってるよ。デイアヌ・アルテミシア様のことは。」
「妹君様を救うためなんだよね。」
「ここに来たのは。」
「出会いがしらにぺらぺらと喋ることね。名前ぐらい名乗ってもらわないと、フラウがわけわからないじゃないの。」
「その子フラウっていうんだ。」
「ふうん。フラウ」
双子はしげしげとフラウを見た。
どうやら一国の王女たるグウェンダリンと一緒にいることが奇妙に見えるようだった。
フラウにしても口にこそ出さないが、水色の髪に左右色違いの瞳の双子の姿を異様だと思った。
「貴方達が水精に魅入られしラグラネスの一族なわけね。」
「そんなの」
「たわいもないおとぎ話」
「根も葉もない」
「伝説」
交互に双子は喋った。
「水精に魅入られし?」
「水精、なんていうのかしら、水に宿る生きものらしいけど、その力に仕える一族といわれてるのよ。」
「水に宿る生きもの?」
そんなことは聞いたこともなかった。
「お喋りだなあ。」
「いいじゃない私達がなんであれ。」
「そうね。なんであれ、ね。」
「私はウンディネ・ド・ラグラネス」
「私はナイアス・フォン・ラグラネス」
言われても二人の見分けがつかないフラウだった。
服装から髪型まで同じなのだ。
それはグウェンダリンも同じらしく、「どちらがどちらかわからないわね。」と言った。
声色まで同じだ。
「そんな正確でなくてもいいよ。」
「そのうち見分けがつくから。」
それが面白いとばかりに双子はくすくす笑った。
「まあ。オズマや貴方達までみたいのがいるのだと思うと私達なんて平凡ね。フラウ?」
「うん。まあ・・。」
今まで見てきた世界は随分狭かったようだ。
「オズマとは一緒にしないでくれないかなあ?」
「彼女は好きになれそうもないよ。」
「好きも嫌いもここでは言っていられないわよ。彼女の持つ力が危ういのは認めるけど。」
双子は顔を見合わせた。
「東の魔女を倒したとか言ってるもん。」
「東の魔女は大物だよ。」
「でも確かにあの銀の靴は東の魔女の物だ。」
「わかるの?」
「わかる。」
「知っていることだから。」
「たまたまね。」
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