第1章

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 私はダイヤモンド職人ではないからね。しかしダイヤモンドの加工法は知識があり、教えられる。長年宝石業界にいるからね。ダイヤモンド加工、その他いろいろな宝石加工、アクセサリー作りの初歩的な方法をあなたに伝授できたら、然るべく実践に移れるよう、ダイヤモンド職人さんを紹介しますよ。  ヒカルは親方に、宝石加工を習う事になった。仕事にするべく働きながら習う事になった。そして親方から沢山の宝石やアクセサリーが隣国に送られたと、そして夢を与えてくれたと喜ばれたと聞いた。中に入ると驚いたのは朝の挨拶や帰りの挨拶のやり方が厳しく決まっていて、その通りにしないと、お仕置きがあった。  ヒカルはある日夢にみた怪しげなユリの花の模様のデザインを絵に描いて親方に見せ、それを宝石の台座に作りたいと申し出た。親方は、 「そういった独自な図案は天才や芸術家のやる事だよ。凡人は、職人である私の見せた通りの図案を覚えて加工しなさい」 と言った。そして親方に聞いてみた。 「ダイヤモンドとは何ですか?」「語るものじゃない。しょせん、血塗られた石だよ」 そう親方は言った。しかし血塗られた石とは何かを聞くことは出来なかった。  数年経ってヒカルの母方の祖母が亡くなった。形見にとカラット数も分からない古いダイヤモンドの指輪をもらい受ける事になった。台座も埃まみれでダイヤモンドの形すらも古いデザインの物だった。宝石加工の技術を身につけたらそれをペンダントにする事を夢見た。親方にそれを話したら親方はこう言った。
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