休日。

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休日。

今日は定休日。 いつもなら、特にすることもなく家でごろごろと日がな一日を過ごすのだが、今日も彼女はいつも通りの時間に起床して、朝食の準備をしてくれた。 「休みの日ぐらい君も家のことなんてせず、好きなことをしていいんだよ。家事は業務に入っていないから」 基本的に、家事をしろなんてことも言っていないのだが、住み込んでいる以上やると言ってきかないので任せていた。 「好きなことをしてるんで、大丈夫ですよ。好きなんですよね、家事」 やはり彼女は、そう言って私の世話をするのをやめようとしない。 「こんなおじさんの面倒を見るのが楽しいわけないでしょう。年頃の子を朝から晩まで縛っておくのは、私も気が引ける」 そう。こんな親子ほども歳の離れた私に気遣って、大事な若い時間を費やす必要などない。そんな、私だけに虫のいい話があってはいけない。 「私がいたら、お邪魔ですか?」 いつになく悲しそうな顔で彼女はそう尋ねてきた。 「いや、邪魔というわけでは…」 「それなら、好きにさせていただきますね。食事は好きなタイミングで取ってください。作るだけ作っておくので」 すぐさま表情を明るくして、彼女は言った。本当に猫のようだ。自由気ままで、表情がころころ変わる。いつ、気ままにここを飛び出してしまうかも分からない。それが怖いのかもしれない。彼女といることに慣れてしまうのも。
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