倉井&新井

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倉井&新井

 しかし、最近は街全体がうかれていやがる。  通り魔か…それも、悪くないかもな?  安定剤でボロボロになるのなら、おまえの憎い相手を殺せばいい。  内なる俺がそう言った。  そう思わないか?そう思わないか?何故、おまえが傷つく?いつでも内なる俺は優しかった。    内なる俺の言葉に、俺は救われた。   医師は、《心を強くする薬》と言っていたが、内なる俺は《毒薬》だと教えてくれた。  死にたくなければ!その精神科医をナイフで突き刺せ!そいつは人殺しだ! 《心を強くする薬》なんて、あるわけないだろ!?  そいつの正体は青酸カリだ!    俺は内なる俺が言ったとおりに、精神科医を殺した。警察からは感謝状を貰った。  精神科医の正体はメッキ業者だったのだ。  《Heart》って言うクリニックを立ち上げ、精神科医に成り済ましていたのだ。  名前は倉井圭って、いじめに遭いそうな名前だ。 『暗いって言われて頭にキテさ?死んだ新井って奴だけど、僕と瓜二つだったでしょ?面白い仕事だっ たよ。同情するだけで金が入るんだからさ?』  倉井の死体がそう教えてくれたよ。  倉井&新井、芸人にありそうだよな?  新井を殺したのは倉井、倉井を殺したのは俺。 「さて?何で倉井さんは、新井さんを殺したのかな?」  取調室で居眠りしている田所刑事に話しかけた。 「あぁ、すまん」  椅子からずり落ちそうになり、田所が椅子に謝った。俺は無性に腹が減ってしょうが、違うって!腹が立ってしょうがなくなって、立ち上がった! 「俺に謝れ!田所!感謝しろよぉ?」  俺は北野武を意識してしゃぶった。あっ、ミスった!(+_+)喋っただった。 「ええ、倉井を殺して下さいまして誠にありがとうございます」  田所のしゃべり方がデパートの店員みたくって、ゲラゲラ笑った。 「ヘヘヘ、西友に転職しろよ?rockされちゃうぜ?CMでやってんだろ?そんなことより、倉井は何で新井を殺したのかな?」  よく、はぐれ刑事なんかの取調室ってさ?容疑者の背後に窓があって、夕陽が差し込んでたりするだろ?あれダメー!取調室ってのはさ?逃走や自殺を防ぐために窓なんてないんだよね。 「暗いって馬鹿にされてたんでしょ?」 「気が荒いからだよ」  田所が噴き出した。 「勘弁してください、マキシムさん」 「巻嶋だよ!」  俺は東武署を出た。朝陽が眩しいなぁ。
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