メデューサ殺人事件

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メデューサ殺人事件

 派遣会社で殺人事件が起きた。桜は取材するためにネットで情報を集めていた。  瀧口は依然として姿を現さなかった。  会社名はメデューサ。ギリシア神話に出てくる髪が蛇で出来ている化け物だ。  富士宮通っちゅう、ストリートみたいな名前だ。かつては人材の神様と呼ばれるほどのカリスマ性を誇っていた。リストラの名手でもある。 「彼を恨む人間は多いだろうな」  桜はひとりごちた。  殺されたのは津田真喜雄っちゅう、末端社員だ。年齢は35歳。 「本社はどこにあるんだ?」  光浦が尋ねてきた。 「西新宿です」 「狂気は捨てるな」  光浦がこっちを見て言った。  何なの?あの人、不気味ね?  自分の息がやたら臭い。昨日、飲み過ぎたかな?グロレッツでも噛もうかな。 「すっ、うぶっ、トッ、トイレに……」  クソッ、これから取材だってのに! 「トイレに行っトイレ」  玉野のオヤジギャグに殺意を覚えた。    トイレを目指して全力疾走!胃袋がタップンタップンイッテる!(+_+)うぶっ、(+_+)  あの、イッテる、恨む、営業マン、オヤジに、書くんだからな……頭が裂けそうだ!(°∀°)  言葉が次々に頭の中を駆け巡る。  狂気は!狂気は?狂気は捨てるな!  トイレに駆け込む!段差に躓く!  個室に入る。ドアを閉めたいのに~、そんな、余……力が……ウゲェェェェ!  あんれまぁ~、間に合わなかった~タイルに麻婆豆腐っぽい吐瀉物が溢れた。 「今年のボーナスは、マーボーナス」    グロレッツを噛んだ。ミント味に胃袋が癒……!? 「ウブッ、嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!」  ニタニタと青い舌をチロチロしながら、光浦がドアのところに立っている。 「桜ちゃーん、可愛いなぁ」  ジワリジワリとにじりよってくる。  バスン!何かが破裂する音が聞こえた。  花火の匂い?光浦の頭がザクロみたく弾けた。 「大事?」
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