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「この鏡、いわくつきの鏡と呼ばれていてね。何でもその鏡を覗き込むと……」
「覗き込むと?」
「その鏡の持ち主の女性が、少女の時の姿で、ダブルピースをして映り込んでくるそうです」
「……そうなんですか」
「ええ。そしてその女性があまりにも美少女なので、購入といってもしばらく借りる権限をもらうだけという状況なんですよ」
僕はそれ以上どう答えれば良いのかわからなかった。
でもそんな幽霊だったら、ある事をと僕は思ったので、
「鏡に幽霊がとり付いているのならそんなに移動出来ないのでは」
「いや、その映るのも気まぐれだが、ずっと一箇所にいるのは暇であるらしく、適当な周囲の動くものにとり憑いて移動したりしているらしい。しかも鏡からそこそこ離れていても大丈夫であるらしい」
「何でそれが分かるんですか」
「その鏡にあくびしている様子や何かに取り憑いて移動しているいている様子が映っているらしい」
この世界の幽霊はかなり自由であるらしい。
何だかなと思いつつ僕は、
「でもどうしてそんな鏡を? 好きな人にそんなものを渡したら嫌われるのでは?」
「……美少女とのツーショットがしたいとラティが言ったので」
「それは生の美少女ではないでしょうか」
「生の美少女かどうかは聞いていないから、問題無いだろう」
とても問題があると僕は思いました。
だが、まあいい。
僕にはきっと関係がないだろうしと思いつつ、先ほどから沈黙したままの側にいたクロウに僕は、
「でも幽霊の女の子がこの蝶に取り憑いてたりとかするわけじゃないよね」
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