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拾い上げた紙をクロウが見ていたので僕が覗きこむと、僕の背では見えない高さに紙を上げてしまう。
仕方がないので僕はクロウの傍でぴょんぴょん飛び跳ねてみるが……見えない。
「何でそんな意地悪をするんだ」
「いや、こうするとイズミがどういう行動を取るかなと思って」
「僕を玩具扱いするな」
「……そうだな。意外に可愛い物が見れたし良いか」
クロウはそう一人頷いている。
僕はむっとした顔で飛び跳ねていたというのに、可愛いとは何事だと思った。
だがそんな僕を無視してクロウがその紙に書かれている内容にざっと目を通して告げた言葉は、
「やはりその手鏡の幽霊の心残りを探して欲しいらしい。どうやらこの屋敷がこの幽霊少女の持ち物だったらしい」
「だった?」
「彼女のその子孫が、病気のためにここから移住したらしい。その結果、今はメノウの家の持ち物になっているのだそうだ」
「そうなんだ……でももう無いかもしれないよ? 随分時間がたって住んでいる人も変わっているし……」
僕がそうクロウに返答するとクロウは僕の頭に止まった蝶を見て、それからしばらく相槌の様なものを打ってから、
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