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「無ければ無いでいいそうだ。そうすれば安心であるらしい」
「そうなんだ。それで場所は分かっているのかな?」
「その場所なんだがこの屋敷だとは分かっているけれど、何処にあるのかは昔の事なので忘れてしまったそうだ」
「……」
僕は無言になってしまった。
もう少し、ヒントがあってもいいのにと僕は思う。
むしろ直接聞いて思い出してもらった方が良いだろうかと考えて、
「幽霊を見たり話したりできる道具って、作れるかな」
「欲しければ作ればいいんじゃないか?」
「それもそうだね。僕達の世界には幽霊がいないから、考えつかなかった」
幽霊の正体見たり、枯れ尾花……そんな言葉もあるくらいだ。
科学文明の照らし出す明かりが、そういった幻想と迷信と悪意をぷち破って久しいのだから。
そう思いながらスマホでその魔道具を検索しようとする僕に、メノウが困った様に近づいてきて、
「この鏡は借り物だから、幽霊が成仏してしまうと困るのだが」
「……クロウ、どうしようか」
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