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何処かクロウの声に冷たいものが混じった気がする。
それが気になり僕が見上げると、クロウが渋い顔をしていて、
「勇者が定義ずけられたなら、相対的に魔王も定義ずけられる」
「……え?」
「だからできる限り、イズミはそれを避ける様に」
「そ、そうなんだ。分かった」
まさかそんな効果があるとは知らず、僕は気をつけようと思う。
そこでクロウが僕を抱きしめた。何でと僕が思っていると、
「イズミはこのままでいてくれ」
顔は抱きしめられているので良く見えないけれど……僕には切実な願いのように聞こえたのだった。
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