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そんなこんなで僕達は奥を目指す。
まず出来るだけ奥の方の壁際の箱を見た方が良いんじゃないか、というわけで奥の方にやってきた僕達。
だが、当然だといえば当然だけれど。
「凄く埃が沢山……またシャワーを浴びないと……ん?」
そこで僕はある事に気付いた。
すでに埃が僕の服には少しついているというのに、クロウは少しも汚れていない。まさか、
「クロウ、魔法で服を綺麗にしているな!?」
「ふ、ばれたか」
「ぼ、僕にもかけてくれてもいいじゃないか!」
「あー、忘れていたな。よし、今日はもう汚れているから俺が後で背中を流してやろう」
「確かにもう汚れている……クロウに背中を流してもらおう」
僕はそう呟いて、埃が積もった箱に手を伸ばす。
クロウにも手伝ってもらってそれを開けると、
「……石みたいなものが一杯入っている。これってこの世界の食べ物?」
「いや、ただの石だな。食べられない」
「何でそんな物がここにあるんだろう」
「それもそうだがこの宝箱には、“見た人がそこにある物を避けてしまう”魔法が掛けられているな」
「え? もしかして僕、それにかかっていなかった?」
「この前の花の件といい、イズミには妙な効果があるようだな。“勇者”としての特性か?」
「そうなのかな? 何だか変な違和感を感じたのだけれど。でもそういった魔法がかけられているなら、期待を大きくしてもいいよね?」
そんな人目を避ける物があるとしたら、きっと重要な物だと僕は思ったけれどそれにクロウは少し黙ってから、
「いや、がっかりしたくないなら、ハードルは下げておいた方が無難だろう。食糧庫だし」
「……それもそうだね」
クロウの言葉に僕は頷き、その箱を僕は探り始めたのだった。
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